未来志向のソリューションを研究するFUCHS
REACH規制などによる潤滑剤に関する技術的および規制要件は厳しさを増す傾向にあります。これに伴い、製品に特化し、個別化された高性能潤滑剤の需要が高まっています。
航空宇宙分野および医療技術分野で使用されてきた新しい高性能材料、プラスチック、被覆材、チタンおよびアルミ合金には、まったく新しい特性を備えた革新的な処理液が必要です。自動車産業分野では、よりパワフルなエンジンが搭載されるとともに、これまで以上にトランスミッションに負荷がかかり、使用されるオイルに対する要件も上昇しています。軽量構造、低燃費、電気モーターの増加を伴うこの分野での最大の課題は、革新的なオペレーションフルードおよびグリースを提供することにあります。
また気候変動や資源枯渇などの社会的および環境的に重要な緊急性を要する課題にも、付加価値連鎖における新しいアプローチが必要とされています。キーワードとなるのは、CO2削減、エネルギー効率、燃費効率、再生可能資源、リサイクルです。FUCHSは、これらの課題解決に尽力しています。
FUCHSは多数のパートナーと提携して徹底的な研究を行っています
原油は、有限資源です。これらの背景に伴い、潤滑剤産業分野でも代替資源が必要とされています。再生可能資源には、菜種油などの植物油ベースのオイルがあります。植物性オイルの技術分野での使用により生じた「食料獲得競争」に関する論争により、食物や飼料生産には適さない代替資源の研究が必要とされました。このためFUCHSは、ドイツ教育研究省(BMBF)が実施する学際的取組みである「Advanced Biomass Value」を支援しています。このプロジェクトは、藻類および酵母ベースの第三世代のバイオマス向けの統合型リカバリーチェーンの開発を中心に遂行されています。このプロジェクトでは、航空燃料、機能潤滑剤および新しい建設材料を製造することを目標としています。特定のタイプの藻類を含む脂質は、上質の潤滑剤成分の製造に使用することができます。
ドイツ教育研究省(BMBF)の研究イニシアチブ「Zero Carbon Footprint」では、炭素を多く含む廃棄物のリサイクルにおいて、有用なバイオマス製造を行うための研究が進められています。廃棄物から再利用可能な材料を生成することがこのプロジェクトの目標です。ここでのキーワードはwaste-to-value(廃棄物から価値ある資源を生成する)です。産業排水、下水汚泥、排煙に含まれる炭素は、廃棄物を基質として使用する微生物により、工業生産向けの貴重な建設ブロックに変換されます。FUCHSは、機能的ベースオイルおよび添加剤分野における研究活動に力を注いでいます。ベースオイルまたは添加剤に使用される複合分子は、酵素的修飾により得られます。
電動モビリティにも潤滑剤は不可欠です。個人モビリティの運転およびそのさらなる開発に伴い電気モーターの使用が上昇するとともに、潤滑剤にも新たな要件が求められています。市販のエンジンオイルを使用しなかった場合でも、電気自動車や特に出力密度の高い装置を備えた車両には、潤滑(ベアリングおよびトランスミッション用)および冷却が必要です。このため自動車の電気駆動装置には、特別な要件を満たすだけではなく、新しいソリューションでシステム全体を改善するための新しいアプローチが必要とされています。FUCHSがこれらの課題を解決するための方法の1つに、現在進行中の「Optimized Electric Drivetrain by Integration (ODIN)」(統合化による電気ドライブトレインの最適化)と呼ばれるEUプロジェクトがあります。Robert BOSCH GmbHがこのプロジェクトをコーディネートしており、FUCHSは潤滑剤分野におけるパートナーです。